コラム

ダンボール原紙価格について

今回はダンボール原紙のここ20年ほどの価格推移についてお伝えしたいと思います。

下記グラフは、外装原紙(K’’ライナー)の日経市況推移を示しております。

外装原紙(K‘’ライナ)日経市況

ご存じの通り、ダンボール製品は、原紙(表ライナーと裏ライナーに中芯原紙を波状にし貼り合わせたもの)を貼り合わせたシートを加工することで製品ができております。

製品単価に占める原材料(原紙)の割合が非常に高く、原紙の値上げを吸収できるほど付加価値が高くないことから、原紙値上げがあった際、企業存続のためにダンボール製品の値上げをする必要があります。

ですので、ダンボールの主原料である原紙価格推移がダンボール製品の価格推移と比例しているともいえるのです。

直近20年ほどの原紙価格推移グラフが大きく上昇していることが見て取れます。実に20年前から2倍近くまで高騰し続けております。当社も原紙価格が値上げされるたびに、お客様に価格改定のお願いをしてまいりました。

❏ここ20年(2005年〜2025年)における段ボール(特に段ボール原紙や製品)の値上げの主要因は、以下のような複合的な要因によって説明されます。

1. 原材料価格(古紙・パルプ)の上昇

•段ボールの主原料は「古紙(特に段ボール古紙)」で、古紙の需給バランスによって価格が変動。
•特に中国などが古紙の輸入を強化した時期(2000年代後半〜2010年代前半)には、国際的な古紙価格が高騰。
•逆に中国の古紙輸入規制(2021年以降)は一時的な古紙価格の下落をもたらしたが、供給側の調整で再び価格が上昇。

2. エネルギーコストの上昇

•製紙業は大量のエネルギー(電力・重油・ガスなど)を消費します。
•原油高や電力料金の上昇(特に東日本大震災後の電力事情変化、最近のエネルギー危機)により、コストが増大。
•CO₂排出抑制のプレッシャーも設備投資コストを増やしています。

3. 人件費・物流費の上昇

•段ボールの需要先であるEC業界の拡大に伴い、配送需要も増大。
・同時に、物流業界での「2024年問題(労働時間制限)」などにより、人件費・運賃が大きく上昇。(仕事があっても運べなくなってくる)
•特に段ボールはかさばるため、運送コストの影響が大きい。

4. 需要構造の変化

•コロナ禍では一時的にEC需要が急増し、それに伴い段ボールの需給が逼迫。
•高品質化(印刷・強度)へのニーズが高まり、高付加価値品の供給比率が上昇。

5. メーカー側の供給調整(業界再編・統合)

・王子HDやレンゴーなどの大手製紙が中小製紙メーカーを吸収・統合・グループ化し、S&Bも進み供給能力がコントロール。
•製紙メーカーが集約されるにつれ、原価上昇分の価格転嫁がしやすくなった背景もあり。

6. インフレ・為替の影響(直近数年)

•2022年以降の世界的なインフレ傾向や円安により、輸入資材やエネルギーの価格が急騰。
•特に海外からの古紙や薬品などの調達コストに為替が大きく影響。

「原価上昇(古紙+エネルギー+物流+人件費)」「需要増加(主にコロナ禍のEC)」「業界の再編で価格転嫁が進行」という主な要素が絡み合い、段ボール価格はじわじわ、時に大きく上昇してきたわけです。

単発の価格要因(例えば原油高、古紙高)と、構造的な要因(人手不足・物流問題)が重なって、段ボール価格は上昇基調にあるわけです。今後も再び原紙価格改定の可能性も否定できません。

これは製紙・ダンボール業界に限ったことではなくインフレ経済に突入した環境下、あらゆる資材・素材に言えることかもしれません。

一番重要なのは物価高騰にあわせて、それ以上に賃金/所得も上がり1人1人の可処分所得が向上し、我々国民の生活の質が豊かになっていくことが求められているのですが、現在の政治・経済の動向を見る限り非常に厳しいと言わざるをえません・・・( ;∀;)。