コラム
「物流2024年問題」とダンボール業界ついて
本年度より、物流業界の労働力不足とドライバーの労働時間への影響など、いわゆる「物流2024年問題」がクローズアップされています。
その対策として2023年6月に経済産業省、農林水産省、国土交通省の3省より「物流の適正化・ 生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」が発表されています。
その具体的な内容は、これまでの「商慣行の見直し」があげられています。ダンボール配送においては、 過去より配送条件・荷卸し環境等、特有の課題がありました。
これまで当然と思われてきたそれらの商慣行について、発荷主・着荷主の立場で協力し見直しを図るよう求められています。限られたドライバーで安定した包材の配送を行うためには、積込み時間の短縮やパレット化等、様々な対策に取り組んできています。
しかしこのままでは「モノを運べない」という危機感は高まるばかりです。納品できなければ、お取引先様の経済活動を停滞させ、機会損失につながるなど、非常に大きな影響を及 ぼす可能性があります。
早急に持続可能な配送環境を整備することが求められており、これまでの「商慣行の見直し」について取り組まねばなりません。
具体的には以下の内容があげられます。(業界からの要請内容です)
法令違反、危険作業撤廃のお願い
納品時のドライバーによる危険作業、法令違反作業を是正する荷受け体制構
(具体例) 高所作業(2m以上)/リフトやコンベヤを使用しての2階上げ作業/ 待機場所不足による路上駐車/公道でのリフト荷役作業/ナンバープレー ト無しリフトの公道走行
付帯作業軽減のお願い
納品は車上渡しを基本とし、ドライバーによる付帯作業(主に、手荷役)を無くすような荷 受け体制構築(パレット卸し、設備改善、人員配置変更・増員)
やむを得ず付帯作業が発生する場合は、かかる費用を別途請求。
(具体例) 取り卸し作業、パレット積み替え/車両・台車・カゴ車・棚への積み替え/エレベーター・階 段などを使用しての納品/リフトでの長距離移送/生産ライン付近まで運搬/ラップ巻き作業 および回収引取り等
待機時間削減に関するお願い
待機時間(荷卸し待ち)を削減できるような荷受け体制の構築依頼。
発注リードタイム延長のお願い
原材料の調達を含め、手配するトラック便の確保を円滑に行う、また配車効率を高め持続可能 な配送環境構築のために、リードタイムの延長。 また、納期前日・納期当日の変更・キャンセルがおきないように依頼。
パレット返却・屋内管理のお願い
パレットは所有者の資産です(レンタルパレットも含む)。用途以外での使用、不正流用が無い 管理を依頼。滞留する事なく当社への返却依頼。 パレットの屋外保管は雨濡れや破損により、虫の付着や異物の混入、積み荷の汚れや破損につながるために屋内管理を依頼。
時間指定に関するお願い
納品時間指定によって、特定の時間帯に納品が集中し、ドライバー及びトラックの確保が厳しく、ご希望の対応に応じることが難しくなっているため、時間指定の緩和を依頼。
このように物流2024年問題に取り組むためには、非常に多くの課題があります。ダンボール業界の納品はこれまで「サービスのひとつ」として長年にわたり、激しい企業間競争のなかで過剰に行ってきたことも業界の反省すべき点であると思っています。しかし人口減少による労働力不足・ドライバーの高齢化・働き方改革への対応・コンプライアンス等により早急にこれらの問題点をお客様とご相談していかなくてはならない段階にきています。そうでなくては本当にモノが運べずお客様の経済活動に支障をきたしてしまう時が遠からず来るかもしれません・・。
時代が大きく変化していく中で、時代の要請に応え「これまでの当たり前」が当たり前ではない、という認識を我々も強く持って業界全体の意識改革を行わなければならないと思いますが、皆さんはどう思われるでしょうか。